旅行中、歩き疲れてカフェに入り、おいしいスイーツを食べる・・・そんなひとときを「至福」と感じる人は決して少なくないはずです。
ヨーロッパでスイーツといえばフランスのイメージが強いかもしれませんが、ドイツもさまざまなオリジナルケーキがある隠れたスイーツ大国。
ドイツで甘~いひとときを楽しむために、ドイツのカフェの利用法とおすすめのケーキをご紹介します。
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ケーキが充実しているのは「コンディトライ」
ドイツにはさまざまな種類のカフェがありますが、おいしいケーキが食べたい場合、行くべきは「コンディトライ」です。
「コンディトライ(Konditorei)」は、ドイツ語でスイーツショップのこと。日本でも一般的になったフランス語「パティスリー」のドイツ語版だといえばいいでしょうか。
「コンディトライ&カフェ(Konditorei&Cafe)」のように、カフェを併設したお店が多く、店内でコーヒーや紅茶などとともにフレッシュなケーキを楽しんだり、ケーキやチョコレートなどのスイーツをテイクアウトしたりすることができます。
基本は勝手に席についてOK
ドイツのカフェに入るとき、基本的にはスタッフの案内を待たなくとも勝手に席についてOK。
高級店を除き、ドイツの飲食店ではスタッフがお客さんを席に案内するという習慣がありません。入店しても席につかずに案内を待っていると、不思議な顔をされるか、「どこでも好きな席にどうぞ」と言われることがほとんどです。
ただし、スタッフと顔を合わせているのに何の挨拶もしないのは感じが悪いので、まずは”Hallo!”と挨拶してから席に着くといいでしょう。
入店してもスタッフと顔を合わせる機会がなかった場合は、まずは席についてスタッフが来るのを待ってから挨拶をすれば問題ありません。
ケーキはカウンターで選んでチケットをもらう
ドイツのカフェでのケーキの注文の仕方は、少々変わっています。
ケーキの種類がたくさんあるコンディトライでは、原則として、まずケーキのショーケースがあるカウンターで希望のケーキを伝え、ケーキの番号などが書かれたチケットをもらいます。
このとき、おそらく「持ち帰りですか?店内でお召し上がりですか?」と聞かれるので、店内で食べる場合は”Zum hier essen(ツム ヒア エッセン:ここで食べます)”と答えましょう。ドイツのカフェでは、たいてい基本的な英語が通じるので、”For here”と英語で答えても大丈夫です。
続いて、席で飲み物を注文する際に、担当スタッフにこのチケットを渡せばオーダー完了。
こうした注文の仕方が基本ではありますが、必ずしも事前にチケットをもらっておく必要はなく、注文したいケーキの名前がわかっている場合は、チケットなしで注文してもかまいません。
また、一部のコンディトライでは、ケーキの種類がたくさんあってもチケット制をとっておらず、ケーキも席で担当者に直接注文するよう求められることもあります。
テーブルごとに担当者が決まっている
カフェに限った話ではありませんが、ドイツの飲食店ではテーブルごとに担当のスタッフが決まっていて、注文からお会計まで、一貫して同じスタッフが受け持つのが普通です。
担当者以外のスタッフに声をかけても「同僚に伝えます」などと言われ、直接用向きを聞いてくれることはほぼありません。
ここで日本の感覚を持ち込んでしまうと「なんて不親切な」と思ってしまうところですが、これはドイツでは当たり前のこと。基本的には、担当者が席まで来るか、近くを通りかかるのを辛抱強く待つ必要があります。
お会計はテーブルで
ドイツのカフェやレストランでは、セルフサービス形式の店を除き、テーブル会計が基本。
担当者にお会計をお願いすると、注文の明細と合計金額が書かれたレシートを持ってきてくれるので、それをもとに席で支払いをします。(シンプルな注文の場合、口頭で金額を伝えられることもあります)
ドイツのカフェでは、お会計をしてほしいのになかなか担当者がつかまらない、あるいは、お会計をお願いしたのになかなか席に来てくれないということが珍しくありません。
観光の合間などで時間が限られているときには、注文した品が運ばれてきた時点でお会計をお願いし、先に支払いを済ませておくのも手です。
10パーセント程度のチップをプラスして
ドイツにはチップの習慣があり、セルフサービス形式ではないカフェやレストランではチップを加算して支払います。
ドイツの飲食店でのチップの目安は、伝票金額の10パーセント。
ただし、人によって、あるいはそのときの満足度によってチップの金額は異なり、5パーセントほどしか払わないこともあれば、15パーセントほど払うこともあり、10パーセントより少々少なくても、多くても問題はありません。伝票金額に10パーセント前後を加え、端数が出ないようにするといいでしょう。
チップは担当者に直接支払う
チップというと、アメリカ文化の影響で「店を出るときにテーブルに置いていくもの」というイメージがあるかもしれませんが、ドイツでは違います。
席での会計時に、チップも含めた金額を直接担当者に渡すのがドイツ流。
伝票金額が15ユーロで、チップを加えて17ユーロ払う場合、”Siebzehn Euro, bitte(ズィプツェーン オイロ ビッテ:17ユーロでお願いします)”などと言って、最終的にいくら払うのかを意思表示するのです。
ちょうどの持ち合わせがあれば、17ユーロを渡して”Stimmt so(シュティムトゾー:これでちょうどです) ”と言います。
シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ(Schwarzwälder Kirschtorte)
ここからは、実際にドイツで食べてみてほしいおすすめのケーキをご紹介します。
まずはなんといっても、世界的に有名な「シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ(Schwarzwälder Kirschtorte)」。
ドイツ南西部の黒い森をイメージしたケーキで、直訳すると「黒い森のサクランボ(酒)ケーキ」という意味になります。
黒い森地方の名産であるサクランボの蒸留酒「キルシュヴァッサー(Kirschwasser)」をしみこませたココア風味のスポンジ生地に、生クリームとサクランボのコンポートをサンド。ケーキの表面は雪に見立てた生クリームでコーティングし、てっぺんには落ち葉に見立てたチョコレートや、サクランボの実を飾ったメルヘンチックなケーキです。
クリームたっぷりで見た目は非常に甘そうですが、本場のシュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテは意外にも甘さ控えめで大人の味。一度食べるとハマってしまったという日本人も後を絶ちません。
ドイツ各地で食べることができますが、チャンスがあればぜひ黒い森地方で本場の味を楽しんでみてください。
チーズケーキ(Käsekuchen)
ドイツにあるほとんどすべてのカフェに置いてあるといっても過言ではないのが、「チーズケーキ(Käsekuchen)」。
ドイツのケーキは一切れが大きく豪快ですが、なかでもチーズケーキはとてもどっしりとしています。日本で人気のフワフワとしたスフレのようなチーズケーキはあまりなく、しっかりとした重みのあるものが主流。
ですが、ドイツのチーズケーキは意外にも甘さ控えめで、フレッシュチーズの一種であるクヴァーク(食感などはややヨーグルトに近い)が使われているものが多いため、見た目よりはあっさりと食べられてしまうはずです。
アプリコットやベリー類など、フルーツを使ったチーズケーキも多くさまざまなバリエーションが楽しめるのも魅力。
アプフェルシュトゥルーデル(Apfelstrudel)
オーストリアを代表するお菓子として知られている「アプフェルシュトゥルーデル(Apfelstrudel)」ですが、ドイツでも非常にメジャーな存在。
アップルパイに似ていますが、生地が薄く、リンゴの自然な風味とゴロゴロとした食感が楽しめるケーキです。
そのまま食べてもおいしいですが、バニラソースやバニラアイスなどと一緒に食べるのもポピュラー。リンゴの国・ドイツらしい素朴で優しいシュトゥーデルを味わってください。
おわりに
伝統的な木組みの家を利用したクラシカルなカフェから、コーヒーが売りのヒップないまどきのカフェまで、さまざまなカフェに出会えるドイツ。
旧市街の中心、マルクト広場で歴史的な町並みを眺めながら過ごすカフェタイムも最高です。ドイツを旅したら、ぜひお気に入りのローカルケーキを見つけてくださいね。