ドイツの四季って?季節ごとの気候と風物詩、旅の服装を解説します

ドイツ旅行を計画するとき、気になるのが、ドイツの四季の特徴やその季節にどんな服装をすればいいか、ですよね。日本同様、ドイツにも四季があります。ただし、比較的バランスよく4つのシーズンに分かれている日本とは違い、ドイツの四季は冬が長いのが特徴。

ドイツの四季の特徴と季節ごとのイベントや風物詩に加え、シーズン別の旅の服装をまとめて解説します。ここでの四季の分け方は一般的な分類とは若干異なる場合がありますが、より日本人の体感に近くなるように分類しました。

ドイツの春(4~5月)

ドイツの春

ドイツの春の天気は変わりやすいのが特徴。特に4月は不安定で、雨が降ったり晴れたりと、一日のなかでも天気の変化が激しいことが多いうえ、同じ週でも初夏を思わせる陽気の日や、冬の寒さが戻ってきたかのような日が混在することがよくあります。この時期の天気や気温は、直前までなかなか予想できません。

年によって異なりますが、一般的にドイツに本格的な春の暖かさが訪れるのは5月中旬以降。美しい花々な新緑が楽しめるのも、この時期からです。4月のドイツの観光地は比較的空いていて、宿泊料金なども比較的安いものの、天気や気温の面ではある種の賭けになると思ったほうがいいでしょう。

春のイベントと風物詩

シュパーゲル1

3月上旬の「バラの月曜日」には、ケルンやデュッセルドルフで、冬を追い出す大規模なカーニバルが開かれます。4月末~5月上旬にかけては、ミュンヘンの蚤の市「アウアードゥルト」、毎年4月30日には、ゴスラーなどのハルツ地方で、魔女の集会「ヴァルプルギスの夜」を開催。

5月に入ったら、いよいよドイツの観光シーズンが始まります。メルヘン街道のハーメルンやブレーメンでは、童話にちなんだ野外劇の季節がスタート。音楽イベントとしては、5~6月にかけて開催されるヴュルツブルクのモーツァルト音楽祭がこの時期の目玉です。

4月中旬~6月中旬ごろにドイツを訪れるなら、絶対食べたいのが「シュパーゲル(ホワイトアスパラガス)」。ドイツ人が熱狂する、ドイツを代表する春の味覚です

春のドイツ旅行の服装

この時期のドイツは、年によって、週によって、あるいはその日の天気によってかなり気温が変わってきます。そのため、調節しやすい服装を用意することが大切。急に冷え込んだ場合には、日本でいうスプリングコートのようなものでは不十分な場合もあるので、薄手のダウンジャケット、とヒートテックなどのあったかインナーを用意しておくと安心です。

4月なら薄手のニットも必要ですし、3月は日本の11月中旬~12月中旬ごろの服装を想定するといいでしょう。

ドイツの夏(6~8月)

ドイツの夏

6月になると天気も安定し、夏らしい陽気の日が多くなってきます。ドイツには梅雨がないうえ、6月はまだ本格的な旅のシーズン前なので、6月のドイツ旅行は穴場。日も長いので、この時期に時間がとれるなら、6月は最もドイツ旅行におすすめの月のひとつです

7~8月のドイツは、まさに旅行シーズン真っただ中。6時前には陽が昇り、21時ごろまで明るく、雨が降る日も少ないので、一日中外での観光が楽しめます

気温が30℃を超える日もありますが、日本より空気が乾燥しているため、日本の夏のようなジメジメとした不快感はありません。ほとんどの日本人には、夏のドイツは「過ごしやすい」と感じられるでしょう。

7~8月は、気候面では旅行におすすめの季節ですが、世界各国から大勢の旅行者がドイツにやってくるため、観光地の混雑や航空運賃、宿泊費の高騰は覚悟しておく必要があります。

夏のイベントと風物詩

夏のドイツは、各地でイベントが盛りだくさん。6月にはローテンブルクでマイスタートルンクの祭り、7月には、ディンケルスビュールの子ども祭り「キンダーツェッヒェ」やリューデスハイムの火祭り、8月には、コブレンツの火祭りやリューデスハイムのワイン祭り、など、各地で大小の郷土祭りが開催されます。

この時期は音楽イベントも充実していて、7~8月にかけてはバイロイト音楽祭、8~9月にはブレーメン音楽祭も開催されます。

夏のドイツ旅行の服装

6月は、まだ肌寒さを感じる日もあり、薄手のジャケットなど、日本の春のような服装が必要になる場合があります

7~8月は、天気が良ければ、基本的には日本の夏と同じ服装で構いません。ただし、天気が悪いと予想外に冷え込むこともあるので、カーディガンやストールなどの軽い防寒具は必要。寒がりな人は、念のためあったかインナーも用意しておくといいでしょう

夏のドイツは、晴れた日にはかなり日差しが強くなるので、サングラスや帽子など紫外線対策になるものがあると安心。また、空気が乾燥しているので、日本で売っているさらさらタイプの日焼け止めなどを使うと、肌がパサパサになることも。スキンケア用品や日焼け止めは、ある程度の保湿力があるものを持参するのがおすすめです。

ちなみに、ドイツを含め、ヨーロッパでは日傘の使用は一般的ではないので、晴れた日に傘をさしていると、周囲から浮いてしまいます。「周りからどう見られても気にならない」という人以外は、帽子やストールなど日傘以外での紫外線対策をおすすめします。

ドイツの秋(9~10月)

ドイツの秋

日本で9月といえば、「まだまだ残暑が厳しい」というイメージがありますが、ドイツでは9月に入ると早くも気温が下がり、徐々に冬の足音が聞こえてきます。10月になると、日の出は7時30分ごろ、日の入りは19時ごろと、日照時間も短くなり、本格的な秋の到来です

あっという間に終わってしまうドイツの秋ですが、黄金色に染まるライン渓谷などの紅葉の風景は、この時期にしか見られない絶景。各地でブドウの収穫祭なども開催されます。

9月も中旬を過ぎると旅行シーズンも落ち着いてくるので、ハイシーズンを避けて旅行したいなら、この時期もおすすめです。

秋のイベントと風物詩

アンズ茸1

秋のドイツの一大イベントといえば、なんといっても9月下旬~10月上旬にかけて開催される、ミュンヘンの「オクトーバーフェスト」。9月には、ローテンブルクの帝国自由都市祭りやマイセンのワイン祭り、10月にはワイマールの玉ねぎ祭りが催されるなど、ユニークなお祭りが目白押しです。

秋のドイツの味覚といえば、アンズ茸。夏の終わりごろから出回り始める秋の到来を告げるきのこで、アンズのような香りととろりとした食感がクセになります

秋のドイツ旅行の服装

秋のドイツも、春同様、年によって、日によって、かなり気温が異なるため、調節しやすい服装を。天気の良い日でも、朝晩は冷え込むため、コートや薄手のダウンジャケットは必須です

10月に入ると一気に冷え込む場合もあるので、コンパクトダウンやあったかインナーなどを活用して、急な冷え込みにも備えられるようにしましょう。薄手のコートに加え、その下に着こめる薄手のダウンジャケットがあれば、調節がしやすく便利です。

ドイツの冬(11~3月)

ドイツの冬

多くの方がイメージされる通り、ドイツの冬の寒さは厳しいです。日中でも氷点下になることは珍しくなく、年や地域によっては、気温がマイナス20℃~マイナス30℃程度まで下がることもあります

ドイツの冬の訪れは早く、11月中旬くらいになると、日本の真冬のような寒さになります。冷え込みが最も厳しくなるのは年が明けた1~2月。運が良ければロマンティックな雪景色が見られる時期でもあります

その一方で、大雪が降ると、交通機関が乱れ、電車がストップしたり、フライトがキャンセルになったりすることもあるので、1~2月の旅行はある程度のリスクが伴うともいえます。

冬のドイツは日照時間が短く、朝は8時を過ぎてから日が昇り、16時ごろには早くも日が暮れ始めます。天気も総じて良くはなく、曇りや小雨の日が多くなり、冬にさわやかな青空が見られる日はあまりありません

3月に入ると少し寒さも和らぎますが、まだまだ油断は禁物。依然として薄手のダウンジャケットとセーター、あったかインナーなどによる防寒対策が必要です。

冬のイベントと風物詩

ベルリンクリスマスマーケット

冬のドイツ旅行の醍醐味といえば、なんといってもクリスマスマーケット。「ドイツ3大クリスマスマーケット」と呼ばれる、ニュルンベルク、ドレスデン、シュトゥットガルトのクリスマスマーケットが世界的に有名ですが、ドイツ各地で開催されるクリスマスマーケットの数は、2500ともいわれます。

一般的なドイツのクリスマスマーケットの開催期間は、11月下旬から12月23日ごろまで。ほとんどのクリスマスマーケットは、クリスマスよりも前に終了します。なかには、わずか数日だけのスペシャルなクリスマスマーケットもありますよ。

冬のドイツ旅行の服装

冬には冬の魅力があるとはいえ、冬にドイツを旅行するならそれ相応の覚悟と準備が必要です。冬にドイツを訪れるなら、とにかく防寒重視に尽きます。コートは厚手のロングダウンが基本で、寒がりな人はさらにインナーに薄手のダウンをプラスしてもいいくらいです

最高レベルのあったかインナーや、あったかタイツは当たり前。ドイツでは日本式のカイロは一般的ではないので、貼るカイロなどを日本から持参すると役立ちます。加えて、手袋やマフラー、ニット帽などの防寒アイテムも必須。冬のドイツでは、帽子はおしゃれアイテムではなく、防寒用の実用品と心得ましょう。

クリスマスマーケットを周る予定のある人は、外で過ごす時間が長くなったり、日が暮れてからも外で過ごすことが多くなったりしがちなので、特に防寒対策は万全に。

服装から話はそれますが、「外で冷えた身体をお風呂で温めたい」という人は、宿泊場所にバスタブつきの部屋を選ぶようにしましょう。ドイツのホテルは、中級クラスなら部屋にバスタブがないことがほとんどなので、お風呂につかって身体を温めることに慣れている日本人が、冬のドイツでバスタブなしの部屋に泊まると、夜寝るときも身体が冷えたままで、辛いことがあります。

ドイツの気温は年間を通じて日本より低い

南ドイツのミュンヘンでも北海道より北に位置するため、ドイツの気温は年間を通じて日本よりも低いのが特徴です。そのため、同じ季節でも日本より気温が低いことを想定して、旅の服装を準備する必要があります。

加えて、ドイツは冬の訪れが早く、冬が去るのも遅いので、3月や11月などのはざまの時期でも、しっかりとした防寒対策が必要です。

ドイツは意外に雨の日が多い

もうひとつ覚えておきたいのが、ドイツは意外に雨の日が多いということ。ガイドブックには東京とベルリンの降水量の比較グラフなどが載っていて、それを見るとドイツは日本よりも圧倒的に雨が少ないように見えます。

確かに、ドイツの雨は日本のように大降りになることが少ないので、降水量は多くないのですが、小雨の日が何日も続いたり、一日のなかで降ったりやんだりが続くこともあります。

ドイツの雨は日本と比べてメリハリがないのが特徴で、降雨日が極端に少ないわけではないので、どの季節に旅行するにしても、折り畳み傘など雨具の用意は必須です。朝晴れていても、午後から天気が崩れることも珍しくありませんので、天気予報はまめに確認を。

おわりに

ドイツ旅行を最大限に楽しむためには、ドイツの気候を知ったうえで旅するシーズンを決め、その時期にあった服装を準備することが大切です。

ドイツを旅するなら、気候面では5月中旬~9月上旬ごろがおすすめですが、「一生に一度はドイツのクリスマスマーケットを周りたい!」など、特定の目的があれば、一年中いつでも旅行を楽しむことは可能です。

ドイツ旅行のベストシーズンについては、別記事「ドイツ旅行のベストシーズンは?気候とおすすめの服装・持ち物を伝授」でも詳しく解説しているので、そちらもあわせてどうぞ。

ドイツ旅行のベストシーズンは?気候とおすすめの服装・持ち物を伝授

※日本の気候は地域差が大きいため、特にことわりのない場合、本記事中の「日本」は、東京や東京に近い気候の場所を指しています。