子どもから大人まで、世界中で愛されるテディベア。元祖テディベアを生み出したのが、1880年に南ドイツで創業したシュタイフ社です。
シュタイフの生まれ故郷・ギーンゲンにあるのが「シュタイフ・ミュージアム」。
夢の世界が広がるアトラクションをはじめ、シュタイフ製造工程のデモンストレーションや、世界最大のシュタイフショップもあり、シュタイフファンならずとも心踊らずにはいられません。
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シュタイフの生まれ故郷・ギーンゲン
世界中で愛されるシュタイフ生誕の地が、南ドイツ、バーデン=ヴュルテンベルク州の小さな町ギーンゲン。
1902年、ギーンゲン生まれの女性マルガレーテ・シュタイフが、親族とともに生み出したクマのぬいぐるみこそ、世界初の「テディベア」でした。アメリカに渡ったクマのぬいぐるみは一大ブームを巻き起こし、やがてテディベアは世界中で愛されるようになります。
「テディ」の愛称は、第26代アメリカ大統領セオドア・ルーズベルトにちなんだもの。「子どもにこそ最良のものを」という、創業者マルガレーテ・シュタイフの想いは、今もしっかりと受け継がれています。
ギーンゲンへのアクセス
ギーンゲンへの起点となるのが、ウルム。ウルム中央駅からギーンゲン駅「Giengen(Brenz)」までは、アーレン方面行きのローカル線で30分前後です。
ギーンゲン駅からシュタイフミュージアムへは、徒歩5~10分。駅からミュージアムまでの道のりはごく簡単で、おまけに道路にはテディの足跡が続いているので地図を見ずとも迷わずたどり着けます。
町の案内板にもベアの顔と日本語。ミュージアムにたどり着く前からシュタイフの世界観を感じて楽しくなってしまいます。
なお、ギーンゲン駅にコインロッカーはありませんが、シュタイフミュージアム内にコイン返却式のロッカーがあるので、立ち寄り観光でも荷物置き場の心配はありません。
夢の世界が広がるシュタイフミュージアム
2005年、シュタイフ社の創業125周年を記念して、シュタイフ本社横にオープンしたのが、現在の新シュタイフミュージアム。
単にシュタイフ社の製品を展示するにとどまらず、テディベアが生まれてから世界中で愛されるようになるまでの過程をストーリー仕立てで見せてくれる体験型のミュージアムです。
日本語のアナウンスを聞きながら周れるので、楽しさも倍増。シュタイフファンはもちろんのこと、そうでなくでも夢いっぱいの世界に感激してしまうことでしょう。
ミュージアムの展示エリアは、おもにストーリー仕立てのアトラクション、歴代のシュタイフ製品の展示、製造工程のデモンストレーションの3つのセクションに分かれています。
マーガレット・シュタイフの人生を紹介
シュタイフミュージアムは、展示というよりも半分アトラクション。まずは、創業者のマルガレーテ・シュタイフが一人称で自らの生い立ちを語ります。
その間もライトの色が変わったり、ミシンやノートが動いたりと、臨場感抜群。
1847年、創業者マルガレーテ・シュタイフがギーンゲンに生まれます。小児麻痺を患い、両足と右手が不自由になるというハンディキャップを負った彼女でしたが、1861年ごろに洋裁学校に通い始め、その才能を開花。
1877年には、シュタイフの前身となった、女性や子どもの洋服を製造販売する店をオープン。マルガレーテの器用な手先から生み出される高品質な洋服や家庭用品は、たちまち評判を呼びました。
1880年、マルガレーテが作って子どもや女性たちにプレゼントしたのが、小さなぬいぐるみのゾウ。これが現在のシュタイフのぬいぐるみのもとになりました。
その可愛らしさからあっという間に人気商品となり、店はゾウを求める人々で行列ができたほどだったとか。
動くテディベアが登場
マーガレット・シュタイフの人生に触れたら、次の部屋では動くテディベアが登場。生き生きと動くその可愛らしさに目が釘付けになります。
世界初のテディベアが生まれたのは、1902年のこと。
マルガレーテの甥リチャード・シュタイフは、現在のシュタイフ製品の基礎となる動物のスケッチを描きはじめ、1902年に「本物のクマのようなぬいぐるみ」を考案します。
腕と足を動かせるモヘア素材のクマのぬいぐるみ。これが、世界で最初のテディベアといわれる「55PB」です。
クノップが3000体のテディベアを探しに
続いて、テディの孫だというクマのクノップが登場。友達の女の子フリーダとともに、3000体のテディベアを探す冒険に出かけます。
途中、海の中や北極に遭遇しつつも、最終的には無事3000体のテディベアを見つけるのです。各展示室では、床が浮き上がったり、魚が泳いだり、ペンギンが動いたりと、楽しい仕掛けがいっぱい。
3000体のテディベアが見つかる展示室では、世界各国で友達を得て、生き生きと過ごすテディベアたちの様子が表現されています。
もちろん、日本で暮らしているテディベアの姿もありますよ。
世界の動物が集結するZooコーナー
ストーリー仕立てのアトラクションの後は、世界各地の動物が大集結したZooコーナーが続いています。
大きなクマやゾウのぬいぐるみが目を引きますが、ところどころにアトラクションで登場したクノップが隠れているのに注目。大きなぬいぐるみには、またがって記念撮影をすることもできます。
テディベアたちがカヌーに乗っている様子なども可愛らしく、見ていて飽きることがありません。
歴代のシュタイフ製品を紹介
Zooコーナーの後には、歴代の製品とともにシュタイフの歩みを紹介する展示が続いています。
もし売りに出せばすごい値段がつきそうなヴィンテージ品や、くまモン、ハローキティとのコラボ商品など、シュタイフのユニークなぬいぐるみたちが勢揃い。
時代とともに、ぬいぐるみのデザインが変わってきていることもわかり、シュタイフ100年の変遷を感じることができます。
製造工程のデモンストレーション
ミュージアムの順路の最後には、製造工程のデモンストレーションが待っています。
職人たちの手仕事によって一体一体丁寧に生み出される、シュタイフ製品が誕生する過程が見られるのは感動もの。
シュタイフ製品はぬいぐるみとしては高価ですが、この現場を見ればその値段にも納得できるというものです。
製造工程のデモンストレーションが行われている展示室では、ぬいぐるみが製造されるプロセスや素材へのこだわり、時代の流れにともなう製法の変化なども解説されています。
アトラクションでメルヘンなシュタイフの世界観を体感した後は、素材や製法といった現実の理論が学べる。非常によくできたミュージアムです。
世界最大のシュタイフショップ
シュタイフ・ミュージアムの館内には、世界最大のシュタイフショップもあります。
テディベアをはじめ各種動物のぬいぐるみはもちろんのこと、言葉を失うほどに可愛らしい子供服。このミュージアムでしか発売されない限定品もあり、シュタイフファンなら垂涎の品揃えです。
ビストロ・クノップ
シュタイフミュージアムの隣には、セルフサービス形式のレストラン「ビストロ・クノップ」を併設。メニューはハンバーガーやソーセージなどのほか、南ドイツ風パスタのシュペッツレや南ドイツ風餃子のマウルタッシェンなどがあります。
シュタイフにちなんで、キッズメニューの「クノップ」はクマをかたどったナゲットとポテト、ミニサイズのドリンクのセット。キッズメニューですが、大人もオーダーできるので、シュタイフらしいメニューを求めるなら試してみてはいかがでしょうか。
おわりに
100年以上の時を超えて、今も世界各地で愛されるシュタイフ。その生まれ故郷にあるシュタイフミュージアムで過ごすひとときは、どんな大人も童心に返らせる特別な時間です。
南ドイツを訪れたら、生き生きと動くぬいぐるみたちに囲まれて、夢見心地のひとときを味わってみませんか。