【世界遺産】ハンブルクの倉庫街を散策～あの大人気観光スポットも～

北ドイツ最大の都市にして、ドイツ最大の港湾都市でもあるハンブルク。

中世の時代にハンザ同盟の有力都市として栄えたこの町の正式名称は、現在も往時の誇りが感じられる「自由ハンザ都市ハンブルク」です。

ハンブルク観光で絶対に見逃せないのが、古き良き時代を今に伝える世界遺産の倉庫街。

近代的な建物の多いハンブルクにあって、古い港町の面影を残す倉庫街は、別世界を思わせるハンブルク観光のハイライト。ドイツの人気No.1観光スポットや自家焙煎コーヒーが味わえるカフェなど、注目のスポットも目白押しです。

世界遺産「ハンブルクの倉庫街とチリハウスを含む商館街」

2015年、エルベ川の中州に造られた倉庫街（シュパイヒャーシュタット）は、「ハンブルクの倉庫街とチリハウスを含む商館街」として世界遺産に登録されました。

それは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、ハンブルクが国際商業都市として急成長を遂げたことを示す資産としての価値が認められたからです。

19世紀、ドイツ帝国が成立しハンブルクに新しく自由港区が設けられたことにより、新たな港と倉庫が必要になりました。

このときに整備されたのが「シュパイヒャーシュタット」と呼ばれる倉庫街で、その規模は19世紀末当時、世界最大。延べ床面積は30万平方メートルもあり、まとまった倉庫群としては、現在でも世界最大級の規模を誇っています。

ハンブルクの倉庫群は、AからXまで（一部欠番あり）のブロックに分けられており、1885年から1927年にかけて、3期に分けて建設されました。

ノスタルジックな空気が漂う倉庫街

1824年の大火災と第二次世界大戦中の大空襲により、中世以来のハンブルクの町並みが破壊されてしまいました。一部の歴史的建造物は再建されたものの、全体としては近代的な印象の強いハンブルクにあって、倉庫街はまさに別世界。

倉庫群も一部は第二次世界大戦で破壊されましたが、レンガ造りの19～20世紀当時の町並みがよく保存されており、タイムスリップしたような気分を味わうことができます。

19世紀当時、コーヒーや紅茶、香辛料、タバコ、生糸、絨毯など当時の高級品がさかんに取引され、カカオ豆と絨毯の取扱量は世界一だったといわれています。現在はミュージアムやカフェ、オフィスなどとして使われている建物もありますが、倉庫の一部は今も現役。

倉庫街を歩くときは、建物の上部に注目してください。屋根の脇から何かが垂れ下がっていることに気づくはずです。

これらは、倉庫街のあいだを走る運河から直接積み荷を倉庫に上げられるようにと設置された滑車で、一部の滑車は今でも動かすことができます。

フォトジェニックな赤レンガの町並み

倉庫街と聞くと、横浜の赤レンガ倉庫を思い浮かべる人も多いことでしょう。ハンブルクの倉庫街は世界最大級とあって、横浜の倉庫街とは規模がケタ違いです。

また、横浜の赤レンガ倉庫は施設全体がショップやレストランなどとして使われていますが、ハンブルクの倉庫街の場合、一般に利用できるショップやレストラン、ミュージアムとして利用されているのは一部のみで、横浜よりもずいぶんとひっそりとした印象を受けます。

いくつもの橋を渡りながら、重厚感たっぷりの赤レンガ造りの倉庫街を歩けば、いたるところでフォトジェニックな風景の数々に出会えます。

ドアの上に施された模様やレトロなドア・・・一見同じ建物ばかりのように見える倉庫群も、じっくり見ればそれぞれの建物に個性があることに気づくでしょう。

ノスタルジックな雰囲気たっぷりの倉庫街のなかでも、特におすすめのフォトスポットが「ポグゲンミューレン橋（Poggenmühlen-Brücke）」。

橋の上からは、運河の左右に赤レンガ倉庫群が並び、奥にあるヴァッサーシュロス（後述）がアクセントを加える、倉庫街のなかでも特に美しい風景を望むことができます。

続いては、ハンブルクの倉庫街で訪れたい観光スポットをご紹介しましょう。

ミニチュアワンダーランド

ハンブルクの倉庫街で絶対に外せない観光スポットといえば、「ミニチュアワンダーランド (Miniatur Wunderland)」。

世界最大級の鉄道模型テーマパークで、アメリカ、スカンジナビア、ハンブルク、中部ドイツ、クヌッフィンゲン空港、バイエルン、スイス、オーストリア、イタリアの9つのエリアを表現したジオラマ世界が展開されています。

「2017年 ドイツの人気観光スポットTOP100」で、並みいるドイツの観光スポットを抑え、堂々の第1位に輝きました。

ミニチュアワンダーランドの人気の秘密は、驚異の精巧さとさまざまな仕掛け。鉄道模型や各エリアの名所はもちろんのこと、人々の生活ぶりまでが細かに造りこまれていて、空港で飛行機が離発着する様子や、火山が噴火する様子まで見られます。

ボタンを押すと、音楽が流れ登場人物がダンスを始めたり、ヘリコプターが動きだしたりといった、見学者参加型の仕掛けも好評。鉄道模型への興味のある・なしにかかわらず、子どもから大人までみんなが釘付けになってしまいます。

ドイツ観光人気No.1、ハンブルクの「ミニチュアワンダーランド」に夢中

スパイヒャーシュタットカフェ

ミニチュアワンダーランドと同じ並びにある「スパイヒャーシュタットカフェ (Speicherstadt Kaffeeroesterei)」は、コーヒー好きなら絶対に素通りできないスポット。

貿易で栄えてきたハンブルクらしく、店内にはコーヒー豆を輸入する際に使用した道具や麻袋などが、港町ならではのノスタルジックなムードを感じさせます。

コーヒー豆本来の味が楽しめる自家焙煎コーヒーが人気で、一日に2500杯前後が売れるとか。地元っ子にも人気が高く、朝から多くのお客さんで賑わいます。

朝は朝食セットが用意されているほか、ケーキやペストリー、サンドイッチなどもあり、軽食におやつにと、気軽に立ち寄れるお店です。

世界各地から揃えたコーヒーやコーヒーグッズが並ぶショップも併設。赤レンガ倉庫がデザインされたパッケージもおしゃれなので、コーヒー好きな方へのお土産にもぴったりです。

種類が多すぎてどれを選べばいいかわからない！そんなときは、近くにいるスタッフにおすすめを聞いてみてください。「ミルクに合うものがほしい」「酸味の少ないものがいい」など、希望を伝えれば、好みに合ったコーヒーを親身に提案してくれますよ。

ヴァッサーシュロス

「ヴァッサーシュロス (Wasserschloss)」は、ハンブルクの倉庫街を代表する、可愛らしい建物内にある紅茶ショップ兼カフェ・レストラン。

「水の城」を意味するロマンティックな名前の通り、運河に突き出したような場所に位置し、店内奥のテラス席からは開放的な運河の風景が楽しめます。

店内はカジュアルな雰囲気を残しつつも、洗練された大人の空間。お茶好きならぜひここでの休憩をおすすめします。

お茶の専門店だけあって、温かいお茶はもちろんのこと、冷たいお茶も本格派。一般的なドイツのカフェやレストランでは、アイスティーを注文すると加糖されたペットボトルのお茶飲料が出てくることが多いですが、ここでは素材の味を大切にした自家製アイスティーがいただけます。

日本ではなかなか出会えない珍しいブレンドのお茶も多く、いままでに試したことのないお茶を味わってみるチャンスです。

12時から17時までは、手ごろなランチメニューも。焼きソーセージなど定番のドイツ料理でも、ここではちょっと上品に盛り付けられているので、おしゃれな気分になれます。

併設のティーショップは、世界各国のさまざまなお茶の芳香に満たされた、お茶好きにはたまらない空間。

紅茶や中国茶、日本茶、ハーブティーなど、あらゆる種類のお茶が揃っていて、目移りしてしまいそう。紅茶やハーブティーは日本よりもずっと安く、100グラム5ユーロぐらいから手に入るので、まとめ買いしたくなること必至です。

大阪通り

倉庫街の中ではありませんが、倉庫街を訪れたついでにちょっと足を延ばしてみてほしいのが、大阪通り（Osakaalle)。ハンブルクと日本の大阪は姉妹都市の関係にあり、その縁でハンブルクの通りに「大阪」の名が付けられているのです。

ハンブルク、大阪ともに国内第2の都市であり、水の都。ちょっと猥雑な活気があるという点でも共通していて、この2都市の姉妹都市協定には納得感があります。

大阪通りには、特に見るべきものがあるというわけではありませんが、ドイツの大都市ハンブルクに「大阪」の名を見ると新鮮な気持ちになれるはずです。

おわりに

ハンブルクのなかでも別世界の町並みを残し、人気のミュージアムやカフェも揃う倉庫街は、ハンブルク観光のハイライト。倉庫群のあいだをぬうようにして走る運河クルーズに参加して、水上から赤レンガの町並みを楽しむのもいいでしょう。

さまざまな角度から、水の都ハンブルクの繁栄を支えてきた歴史ある町並みを楽しんでください。