中世のおとぎの国、ローテンブルクの観光スポットTOP13

「中世の宝石箱」と呼ばれるローテンブルク。「ロマンティック街道のハイライト」とも称され、ドイツを訪れる人の多くが一度は行ってみたいと願う町でもあります。

城壁に囲まれた旧市街には、赤茶屋根のカラフルな家々が建ち並び、おとぎの国そのもの。

人口1万1000人ほどの小さな町でありながら、ローテンブルクには1日では味わいつくせないくらいの魅力がたっぷりと詰まっています。

そんなローテンブルクをめいっぱい満喫するために、ぜひ訪れたい観光スポットTOP13をご紹介しましょう。

中世の宝石箱・ローテンブルク

中世の面影をほぼ完全に残していることで知られる、ローテンブルク(ローテンブルク・オプ・デア・タウバー)。

旧市街はその周囲をぐるりと城壁に取り囲まれた城塞都市で、その美しさから「中世の宝石箱」とも呼ばれています。

町の起源は9世紀ごろにさかのぼり、12世紀ごろに要塞化が始まり、最初の塔や城壁などが造られます。13世紀には帝国都市、さらに14世紀には帝国自由都市の特権を与えられ、交易の中継地として繁栄しました。

ローテンブルクは、現在も町が大いに繁栄した中世そのままの風景が残っているところ。石畳の道に、カラフルな木組みの家々、そしてそれらに彩を添えるメルヘンチックなショップの数々・・・

まるでテーマパークのような可愛らしさと賑やかさをもつローテンブルクは、日本人が見たいドイツの風景が凝縮された場所。さながら夢の世界です。

ローテンブルクへのアクセス

鉄道なら、ヴュルツブルクからアンスバッハ方面行きのRB(普通列車)で約45分のシュタイナッッハで下車、さらにローテンブルク行きのローカル線に乗り換えてさらに約15分です。

ローテンブルク駅は城壁の外にあり、駅から旧市街までは徒歩で10分程度。列車の本数は多くないので、ドイツ鉄道(DB)のホームぺージで事前に時刻表を調べておくといいでしょう。

4~10月はロマンティック街道バスも利用可能で、ロマンティック街道バスは旧市街のシュランネン広場(Schrannenplatz)に停車します。

注意
観光地として人気の「ローテンブルク」の正式名称は「ローテンブルク・オプ・デア・タウバー(Rothenburg ob der Tauber)」。

ドイツにはほかにも「ローテンブルク」と名の付く町があるので、列車の時刻を調べるときや切符を買うときは、きちんと「ob der Tauber(しばしばo.d. Tauberと略される)」になっているかご確認を。

マルクト広場

ローテンブルク観光の中心が、マルクト広場。小さな町には似つかわしくないほどに壮麗な歴史的建造物が建ち並び、ローテンブルクの過去の繁栄ぶりを如実に物語っています。

マルクト広場の西側にある大きな建物が市庁舎。1250~1400年に建てられたゴシック様式の部分と、1572~1578年にかけて建てられたルネッサンス様式の部分、2つの異なる様式の建物からなっています。

もともとは中世の時代にゴシック様式で建設されましたが、1501年に半分が消失、16世紀に再建されたため、広場に面している主要な庁舎はルネッサンス様式です。

市庁舎の北に隣接する白い建物が市議宴会館で、ここにローテンブルクの観光案内所が設けられています。

市議宴会館の名物が、毎日10時から22時の毎正時に動き出す仕掛け時計

ローテンブルクの町を救ったというマイスタートルンクの伝説にちなんで、ティリー将軍とヌッシュ市長が現れ、ジョッキを手にした市長がビールを飲み干します。滞在中、一度は時間を合わせてメルヘンチックな仕掛け時計を鑑賞してみてはいかがでしょう。

マルクト広場で一度トライしてみたいのが、名物屋台「ポプフ」の絞りたてのリンゴジュース。1952年創業、ローテンブルク郊外で採れたリンゴを使用し、水も砂糖も加えない100パーセント天然のリンゴジュースは驚くほど甘く濃厚です。

アドヴェントの時期になると開催されるクリスマスマーケット「ライテレスマルクト」も人気。「おとぎの国」がいっそうロマンティックになる瞬間です。

市庁舎の塔

ローテンブルクを訪れたら絶対に見逃せないのが、高さ60メートルの市庁舎の塔からの景色。220段ほどの階段をのぼると、360度を見渡せるローテンブルクの大パノラマが広がります。

ここから眺めるマルクト広場周辺の景観は、よくガイドブックでも紹介されるローテンブルクを代表する風景です。

豊かな緑に囲まれ、赤茶屋根のカラフルな家々が並ぶローテンブルクの町並みは、まさに絶景。きっと、いつまでも忘れられないとっておきの風景になることでしょう。

ややわかりにくいですが、市庁舎の塔への入口は市庁舎の正面玄関。正面玄関を入って階段を上ると、「Tower」のプレートがあるので、矢印に沿って進みます。

階段の最後のほうは驚くほど狭くて急。階段というよりは、もはやハシゴのようなので、女性はスカートではなくパンツスタイルでお出かけを

塔の上は狭く、一度にのぼれる人数に限りがあるので、混雑時には入場制限が実施されることもあります。ローテンブルク随一の絶景を見逃さないために、時間には余裕を持って行動してくださいね。

プレーンライン

ローテンブルクといえばお約束なのが、旧市街の南側、コボルツェラー門近くにあるプレーンライン。ガイドブックをはじめ、ローテンブルクを紹介するメディアで必ずと言っていいほど登場する、ローテンブルクの象徴的風景です。

路地が二股に分かれるこのポイントでは、カラフルな木組みの建物とシュピタール門があいまって、おとぎの世界のような景色が広がっています。

ローテンブルクに宿泊したら、早朝の人の少ない時間に出かけて「これぞローテンブルク」とうメルヘンチックな風景を独り占めしてみては。

マルクス塔

プレーンライン同様、ローテンブルクを代表する可愛らしい風景が楽しめるのがマルクス塔の周辺

マルクス門は12世紀にレーダー門とともに建てられた塔で、マルクト広場からマルクス塔へと向かう通りには、小さなカフェやレストランが並んでいます。

マルクス塔のすぐそばにあるベーカリーカフェ「Brot und Zeit」は地元の人々にも人気の軽食スポット。

聖ヤコプ教会

教会というよりは「大聖堂」と言われても違和感のないほどの威容を見せているのが、13世紀建造の聖ヤコプ教会。正面には、シンボルであるホタテ貝を持った聖ヤコプの像が立っています。

この教会を有名にしているのが、ティルマン・リーメンシュナイダーが1500~1505年にかけて制作した「聖血の祭壇」。「中世ドイツが生んだ天才彫刻家」と称されるリーメンシュナイダーの作品のなかでも、傑作との呼び声高い名作です。

1階にも見事な祭壇がありますが、「聖血の祭壇」があるのは教会の2階なので見逃さないようご注意を。

中央に「最後の晩餐」が表現された祭壇は、まさに超絶技巧。衣類の質感や足の血管までが見事に表現された彫刻を見れば、「人間の手でこんなものが作れるとは」と感嘆せずにはいられません。

窓のステンドグラスから光が差し込み、祭壇に陰影を作る朝の時間帯はひときわ幻想的です。

城壁

ローテンブルクの町は、周囲をぐるりと城壁に囲まれていて、ところどころにある階段から、城壁の上にのぼって自由に歩くことができます

一部下を歩く区間もありますが、歩ける部分だけで全長およそ2キロもあるので、ぐるっと一周するとちょっとした運動になること間違いなし。

世界各国から旅行者が集まる人気観光地のローテンブルクですが、意外にも城壁の上を歩く人は少数派。そのため、地上とはまた違った角度からゆったりとローテンブルクの景色を楽しむことができます。

一周する時間がない人は、ぜひ一部の区間だけでも歩いてみてください。きっと、新しい発見があるはずです。

城壁の上を歩いていると、個人や団体の名前が刻まれたプレートがたくさん設置されていることに気付くはず。

これは、第2次世界大戦の被害を受けたローテンブルクの復興のために寄付した個人や団体の名前で、特にレーダー門からシュピタール門にかけては日本人の名前も数多く見られます。

中世犯罪博物館

一種のローテンブルク名物となっているのが、聖ヨハニス教会の隣にある「中世犯罪博物館」。ドイツで唯一の、法と刑罰の歴史博物館です。

「中世」というのはロマンティックな響きをもつ時代。しかし、中世は魔女狩りや拷問などが盛んに行われ、現代の私たちから見れば残虐な時代でもありました。

中世犯罪博物館では、身持ちの悪い女性を閉じ込めたという悪名高い「鉄の処女」や、棘のついた椅子などの拷問器具、死刑執行人のマントなど当時の世相を映す衣服や仮面、中世の法制度がわかる資料の数々が展示されています。

中世の時代には、恐ろしい拷問だけでなく、風紀を乱す行為に対しては「恥の仮面」と呼ばれる不格好な仮面をかぶり、広場でさらし者にされるといった罰もありました。

身の毛もよだつ恐ろしいエピソードから、クスリと笑えるエピソードまで、中世の法と刑罰に関する資料がたっぷりと詰まっていて、メルヘンチックなイメージとは異なる「リアルな中世」に触れられます。

ケーテ・ヴォールファールト

世界で初めて、年間を通してクリスマス用品の販売を始めた店として知られるのが「ケーテ・ヴォールファールト」。ニュルンベルクやハイデルベルクのほかドイツ国内外に店舗がありますが、本店はここローテンブルクなんです。

店内は一年中クリスマス一色。商品の種類は実に多彩で、クリスマスオーナメントやキャンドル、クリスマスプラミッドから、ペーパーナプキン、クッションカバーまであらゆるクリスマス用品が揃っています。

手描きのペイントが施されたガラス製のオーナメントの美しさは、「さすがクリスマスの本場」と言うしかありません。

店内にそびえる巨大なクリスマスツリーやクリスマスピラミッドは圧巻。ここに一歩足を踏み入れたら、一瞬にしてクリスマスのおとぎの国へとワープしてきたかのような気分になります。

実際の季節がたとえ夏でも、すっかりクリスマス気分になってオーナメントなどを買いたくなってしまう・・・ケーテ・ヴォールファールトのクリスマスの魔法、恐るべし。

クリスマス用品を売るショップ「クリスマスビレッジ」の奥には、「ドイツ・クリスマスミュージアム」があり、アンティークの貴重なクリスマスツリーやオーナメントなどを展示。長年にわたって受け継がれてきた文化・歴史としてのクリスマスに触れられます。

※通常、内部の写真撮影は禁止ですが、特別に許可を得て撮影しています。

「Käthe Wohlfahrt」
住所:Herrngasse1 91541 Rothenburg ob der Tauber
公式サイト:http://www.wohlfahrt.jp/

ブルク公園

ローテンブルク旧市街の西の端、ブルク門を出たところにある公園が、ブルク公園

ブルクというのはドイツ語で「城砦」の意味で、1142年、ホーエンシュタウフェン家がこの場所に帝国城塞を建てたことからその名が付きましたが、1356年の地震によってがれきと化してしまいます。

その後、ブラジウス礼拝堂だけが唯一再建され、小さいながらも重厚なたたずまいを見せています。

ブルク公園での見ものは、なんといっても公園の展望テラスからの景色。ここからはローテンブルク旧市街の全景が見渡せ、中世の町並みと深い渓谷が一体化した絵のように素晴らしい風景が楽しめます。

帝国都市博物館

かつてのドミニコ修道院の建物を利用した、ローテンブルクの歴史を紹介する博物館が「帝国都市博物館」。この建物は、ローテンブルクでは聖ヤコプ教会や市庁舎にも匹敵するほど重要な建築物で、建物自体が趣たっぷりです。

展示品のなかで特に有名なもののひとつが、以前は聖ヤコプ教会にあった立像「角をつけたモーゼ」。この奇妙な作品は、中世ドイツの謄写者が、「栄冠を授けられた」という意味のラテン語を「角をつけた」に書き間違えたことから生まれたのではないかといわれています。

外から見ると小さな博物館に見えますが、館内は広く、石器時代~19世紀にかけてのヨーロッパの武器コレクションや、現存するものとしてはドイツ最古といわれる台所など、見どころ満載。

町の歴史に触れることで、ローテンブルクの旅がさらに楽しくなること請け合いです。

夜警ツアー

中世の時代、ローテンブルクには敵の攻撃や火事をいち早く知らせ、町を守った「夜警」が存在し、それは今の警察の原型になったともいわれています。

かつてローテンブルクには6人の夜警がいたそうですが、現在残っているのは一人だけ。もちろん、現在の夜警は観光客向けのガイドであり、中世の時代と同じ役割を担っているわけではありませんが・・・

ローテンブルクには、1920年まで本来の意味での夜警が存在していました。現在、ローテンブルクにおける夜警の伝統は、夜警のマントをまとったガイドが徒歩で夜の町を案内する「夜警ツアー」という形で守られています。

20:00から英語のツアー、21:30からドイツ語のツアーがスタートします。ひっそりと静まり、オレンジ色の光が石畳を照らす夜のローテンブルクは雰囲気抜群。

中世の時代、夜警はさまざまな迷信と結びつき、暗いイメージをもたれていたせいで、地位の高い仕事ではなかったそうですが、今ではローテンブルク名物のひとつとして観光客に高い人気を誇っています。

夜警ツアーへの参加は予約不要。開始時刻に市庁舎前で待機していれば参加できます。

プレッツェル作り体験

ドイツパンのイメージを代表するほどに有名なプレッツェル。

プレーンラインの近くに位置するベーカリー「Striffler」では、マイスター資格をもつ職人に教わりながら、プレッツェル作りが体験できます。ドイツを代表する観光地でドイツを代表するパンを作るなんて、なかなか素敵ではありませんか。

Strifflerは、創業1925年、家族経営のベーカリー。今でも手作業でパンを作っている希少なベーカリーのひとつで、特に週末はパンを買いにやってくる地元の人々で賑わいます。

プレッツェル作りは原則月~金曜日の平日に体験可能で、一人から申し込み可能メールか電話で体験希望日の3日前までに予約が必要です。

マイスターのお手本

料金は一人8ユーロ(1~5名の場合)で、所要時間も40~50分と気軽にトライできるので、ぜひドイツならではの体験に挑戦してみては。プレッツェル独特のハートの形を作るのは意外に難しく、思った以上に奥が深いですよ。

体験の詳細はローテンブルクの電子パンフレット(9ページ目)に記載されています。

「Bäckerei Striffler」
住所:Untere Schmiedgasse 1, 91541 Rothenburg ob der Tauber
公式サイト:www.baecker-striffler.de
e-mail:jstriffler1@gmx.de

カフェ「Einzigartig」

ローテンブルクのとっておきカフェが、「Einzigartig」。旧市街に位置しているものの、観光のメインルートから外れているため、観光客というよりは地元女子に人気の穴場カフェです。

可愛らしいピンクの木組みの建物の中には、レトロモダンなおしゃれ空間が。女性なら、この空間だけでワクワクすること間違いありません。

このカフェは雑貨ショップも兼ねていて、気に入ったものは購入することもできるので、お土産探しにもおすすめ

ボリュームたっぷりの自家製ケーキのほか、スープやキッシュなどの軽食もいただけます。

「Cafe Einzigartig」
住所:Galgengasse 33, 91541, Rothenburg, Bavaria, Germany
公式サイト:https://www.facebook.com/cafeeinzigARTigRothenburg/

おわりに

テーマパークのような可愛らしさや賑やかさが魅力のローテンブルクですが、ローテンブルクはそれだけの町ではありません。

メインストリートから外れて小さな路地に入り込めば、日中でもひっそりとした世界が広がり、中世にタイムスリップしたような感覚が味わえますし、観光客の少ない早朝に町を歩けば、日中には感じることのできない情緒に心を動かされます。

日帰りで訪れる人も多いですが、ローテンブルクの本当の魅力は宿泊してこそわかるもの。旧市街の宿に泊まって、時間帯に合わせて表情を変える中世の町をじっくりと味わってみませんか。

中世の宝石箱、ドイツ・ローテンブルクのおすすめ土産8選

協力:ドイツ観光局
Special thanks to the city of Rothenburg ob der Tauber