日本ではまだまだ知られていない美しい町が多数眠っている、ドイツ南西部。
今回ご紹介するのはドイツ屈指のリゾート地、ボーデン湖畔にたたずむ古城とワインの町・メーアスブルクです。
人口わずか5000人の小さな町ながら、そこには驚くほどにかわいらしい風景の数々と、たくさんの見どころがありました。
Contents
メルヘンな湖畔の町、メーアスブルク
ドイツ南西部、バーデン=ヴュルテンベルク州。ドイツとスイス、オーストリアの国境に位置し、「南ドイツの海」とも称されるボーデン湖は、ドイツ屈指のリゾート地。
ドイツ国内はもちろんのこと、近隣のヨーロッパ諸国を中心に、国外からも多くの旅行者が訪れます。
そんなボーデン湖畔でトップクラスの人気を誇る町が、メーアスブルク。人口約5000人という小さな町ですが、おとぎの世界から飛び出してきたような町並みと、青く澄んだボーデン湖が実に絵になるリゾートタウンです。
メーアスブルクの町並みのかわいらしさは、日本でも有名なロマンティック街道の町、ローテンブルク(ローテンブルク・オプ・デア・タウバー)にも引けをとらないほど。日本ではほとんど知られていないながら、ドイツでは人気の高い珠玉の町なのです。
メーアスブルクへのアクセス
メーアスブルクには鉄道が通っていないため、メーアスブルクへの最も一般的なアクセスは、近郊のコンスタンツからフェリーを利用する方法です。
コンスタンツは、鉄道も通っているドイツにおけるボーデン湖畔の中心都市。アクセスが便利なのは、コンスタンツ和議の館近くのフェリー乗り場で、ここから30分ほどでメーアスブルクへと到着します。
コンスタンツを起点にメーアスブルクへ日帰りするなら、往復のフェリー運賃とメーアスブルクの旧城の入場料がセットになった、コンビネーションチケットの購入がお得。
コンスタンツを拠点とする以外に、フライブルクなどドイツ南西部の主要都市から格安バス「Flixbus」で行く方法もあります。この場合フェリーに乗る必要はなく、陸路で直接コンスタンツ入りすることができます。
メーアスブルク自体は、一日あればじゅうぶん観光できますが、メーアスブルクに宿泊して、メーアスブルクから花の島・マイナウ島などに足を延ばしてみるのもいいでしょう。
どこを切り取っても絵になる風景
メーアスブルクにやってきたら、その町並みのあまりのかわいらしさに驚くはず。
フェリーでメーアスブルクに向かっていると、斜面に張り付くように建物が集まる中世の町が目に飛び込んできます。青く澄んだボーデン湖の美しさもあいまって、夢を見ているかのような風景。
メーアスブルクの旧市街に足を踏み入れれば、黄色、緑、オレンジ、ピンクと、色とりどりのパステルカラーの建物が連なるメルヘンチックな光景に出会います。
スイスが近いこともあってか、門に設けられた塔には、どこかスイスを彷彿とさせる雰囲気があります。
メーアスブルクで最もフォトジェニックな一帯が、坂の上にあるマルクト広場の周辺。石畳の路地に面して、パステルカラーの家々や木組みの建物、カラフルな塔などが並び、思わず歓声を上げてしまうほどのかわいらしさ。
上階に物資を運ぶクレーンの役割を果たしていた滑車跡が残る家々も並び、昔なつかしい田舎町の雰囲気が漂っています。
どこを切り取っても絵になるメーアスブルクの町。こんなに素敵な町が日本ではほとんど無名だなんて、なんてもったいないんでしょう!
メーアスブルク城(旧城)
メーアスブルクを象徴する観光スポットが、メーアスブルク城。メーアスブルクには2つの城があるため、こちらはよく「旧城」と呼ばれます。
実は、現在も人が住んでいる城としてはドイツ最古といわれるメーアスブルク城。その歴史を7世紀にさかのぼり、13世紀にはこの一帯を支配したコンスタンツ司教の居城にもなりました。
現在も城の所有者であるフュルステンベルク侯爵家の子孫がここで暮らしており、居住エリアでない塔や礼拝堂、広間、庭園などが中世博物館として公開されています。
今でも「中世の城塞」という雰囲気満点のメーアスブルク城。ボーデン湖を見下ろす断崖に建つ城内へは、高さ14メートルの跳ね橋を渡って入ります。
余計な手が加えられていない城内は、中世からそのまま時が止まったかのような空間。鎧や武具が並ぶ広間や古い台所といった、中世を感じさせる部屋の数々が現れます。
メーアスブルク城はドイツ最高の女性詩人といわれるアネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフが晩年を過ごした場所としても有名。彼女の部屋もそのままの形で保存されており、重厚な中世風の部屋とは違った優美な空間が見られます。
新城
メーアスブルクにあるもうひとつの城が、鮮やかなピンク色の外観をした新城。コンスタンツ司教が新たな居城として1712~1760年にかけて建設したもので、旧城とはまったく趣の異なるバロック様式の宮殿です。
設計は、世界遺産として有名なヴュルツブルクのレジデンツを手がけたバルタザール・ノイマン。バロックの巨匠として、ドイツ国内で数々の建築を手がけました。
大きな天井画が描かれた華やかな階段の間は、ヴュルツブルクのレジデンツを彷彿とさせる華やかな空間。
その向こうに続くのが、新城の中心的存在である祝賀の間。その奥には、大きなタペストリーやシャンデリアなど、豪華な調度品で飾られた居室が並んでいます。
同じ町にありながら、まったく違う雰囲気をもつメーアスブルクの2つの城。ぜひ両方の城を訪れて、その違いを確かめてみてはいかがでしょうか。
ツェッペリン博物館
メーアスブルクにあるミュージアムで、小さいながらも見ごたえがあるのが「ツェッペリン博物館」です。
ボーデン湖畔は、ツェッペリン型飛行船が生まれた場所。メーアスブルクのツェッペリン博物館は、規模は小さいものの、館内にはツェッペリン飛行船ゆかりのオリジナルの品々が所せましと並んでいます。
船内で使われていた食器や、船内で出された食事のメニューなど、船内の優雅な様子が想像できる展示品も。
日本人にとって興味深いのが、ツェッペリンが日本に飛来した際の記念品の数々でしょう。
当時のポスターやメダル、百貨店の松坂屋から贈られた歓迎の辞や日本語で書かれたメニューなど、意外なところでメーアスブルクと日本の縁を見つけることができます。受付では日本語のリーフレットも用意されていますよ。
州立ワイナリー
メーアスブルクは、知る人ぞ知るワインの産地として有名。町の規模が小さいだけに、メーアスブルクのワインは生産量が少なく、ほかの地域ではめったに飲むことができません。
メーアスブルクの斜面の上、新城の隣には州立ワイナリーがあり、名産のワインを手ごろな価格で販売しています。
名産ワインと楽しむ郷土料理
メーアスブルクを訪れたなら、一度は町のレストランやワイナリーで、名物のワインを楽しんでみたいもの。
メーアスブルク城のほど近く、シュタイク通りに面したレストラン「Meersburger Winzerstuben」は、メーアスブルク産のワインとともに、バーデン地方の郷土料理を味わえるレストランです。
ワインと相性抜群の南ドイツ名物が、ケーゼシュペッツレ(Käsespätzle)。「シュペッツレ」とは、「南ドイツ風パスタ」と呼ばれる麺料理で、「ケーゼシュペッツレ」は、たっぷりのチーズを絡めたもの。
日本ではなかなか味わえない、濃厚なチーズの風味が香るケーゼシュペッツレとともに楽しむローカルワインは最高です。
「Meersburger Winzerstuben」
住所:Steigstraße 33, 88709 Meersburg
公式サイト:https://www.winzerstuben-meersburg.de/
とっておきの美景スポット
ちょっとわかりにくいのですが、メーアスブルクには旧城と旧市街の町並み、ボーデン湖を一望できるとっておきのビューポイントがあります。それが、町の北にあるカトリック教会から近い、Stettener Str.沿いにある公園。
メーアスブルクを象徴するような素晴らしい景色が楽しめるのにもかかわらず、一般の旅行者にはほとんど知られていないようで、訪れる人も少ない文字通りの穴場。中心部からは少し離れていますが、わざわざ行く価値はじゅうぶんにあります。
おわりに
コンパクトな町にたくさんの見どころがぎゅっと詰まったメーアスブルク。美景、歴史、グルメと三拍子そろったこの町は、ただそこにいるだけで癒される場所。
まだ見ぬドイツの風景に会いに、メーアスブルクへと出かけませんか。