絶景の宝庫!ドイツ・ロマンティック街道の見どころ10選まとめ

観光の国・ドイツのなかでも特に人気の高い観光地といえば、ドイツを代表する絶景が目白押しのロマンティック街道。

北はヴュルツブルクから、南はフュッセンまで、全長410キロにおよぶロマンティック街道沿いには、過去2000年にわたるドイツの歴史とロマンがたっぷりと詰まっています。

日本でもよく知られる定番から穴場まで、ロマンティック街道の10の見どころを一挙にご紹介しましょう。

ヴュルツブルク

ロマンティック街道の北の起点が、マイン河畔の古都ヴュルツブルク。中世の面影を色濃く残すレンガ色の町並みは、どこか京都にも似たしっとりとした情緒を漂わせています。

文豪ゲーテや、天才音楽家モーツアルトも、その町並みの美しさを讃えたとか。

ヴュルツブルクの起源は古く、紀元前1000年ごろにはすでにケルト人が城砦を築いていたといわれています。7世紀にはこの地で聖キリアンが殉教。8世紀には司教座が置かれ、司教都市として繁栄したことから、ヴュルツブルクには数々の教会や豪華な宮殿が建てられました。

なかでもヴュルツブルクの名を有名にしているのが、世界遺産に登録されているレジデンツ。もともと18世紀に大司教の宮殿として建てられたもので、「南ドイツ・バロックの傑作」と称されています。

有名な「階段の間」の天井には世界最大のフレスコ一枚画が描かれており、かつての大司教の権力と財力をまざまざと見せつけているかのようです。

レジデンツ建設以前に大司教の居城となっていたマリエンベルク要塞も必見。町を見下ろす高台に建つマリエンベルク要塞はヴュルツブルクのアイコンで、庭園からは古都の情緒薫るヴュルツブルクの美しいパノラマが楽しめます。

フランケンワインの里として知られるヴュルツブルクでは、おいしいフランケンワインも見逃せません

橋のたもとにあるレストランやワインショップでグラスワインを購入し、それをマイン川に架かるアルテ・マイン橋の上で楽しむのがヴュルツブルク流。ヴュルツブルクを代表する景色を眺めながら、キリッとしたフランケンワインをいただきましょう。

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ヴァイカースハイム

ヴュルツブルクの南およそ40キロのところに位置する、人口7500人ほどの小さな町がヴァイカースハイム。

日本ではほとんど無名ですが、この町はこの地方を支配してきたホーエンローエ家の宮殿「ヴァイカースハイム城」があることで知られています

ヴァイカースハイム城は、この小さな町には不釣り合いなほど大きく豪華。

その歴史は12世紀にさかのぼりますが、現在の姿は16世紀末からの改築によるもので、ルネッサンス、バロック、ロココといった異なる建築様式が混在しています。

なかでも必見なのが、1600年ごろにルネッサンス様式で造られた「騎士の間」。狩りの場面を描いた天井画や、エキゾチックな動物たちを立体的に表現した壁面装飾など、贅を尽くした内装は圧巻です。

ローテンブルク(ローテンブルク・オプ・デア・タウバー)

ドイツでもトップクラスの人気を誇る町が、ローテンブルク(ローテンブルク・オプ・デア・タウバー)。町の起源は9世紀ごろにさかのぼり、14世紀からは帝国自由都市として繁栄しました。

城壁で囲まれた旧市街のなかに一歩足を踏み入れれば、そこはまさにメルヘンの世界。中世の面影がほぼ完全に残る美しい町並みは、「中世の宝石箱」「ロマンティック街道のハイライト」と呼ばれ、世界中の人々の憧れの的となっています。

ローテンブルクが特別なのは、単に中世の風景がよく保存されているからにとどまりません。

一年中クリスマス気分を味わえるショップ「ケーテ・ヴォールファールト」ドイツ最大級のテディベア専門店「テディランド」をはじめ、キュートなお店の数々が、メルヘン気分をさらに盛り上げてくれるのです。

まるでテーマパークのように可愛らしく賑やかな表情をもつ一方で、ローテンブルクは中世にタイムスリップしたかのような感覚も味わわせてくれます

メインの観光ルートから少しはずれて小さな路地に入り込めば、日中でも驚くほど静か。観光客の少ない早朝や夜の町は、さらに情緒たっぷりです。

小さな町ながら、中世ドイツが生んだ天才彫刻家リーメンシュナイダーの傑作「聖血の祭壇」がある聖ヤコプ教会や、ドイツで唯一の法と刑罰の歴史博物館「中世犯罪博物館」など見どころもたくさん。

町の中心にある市庁舎の塔から眺めるローテンブルクのパノラマは、文句なしの絶景です。

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ディンケルスビュール

「南ドイツで最も美しい旧市街のひとつ」といわれるのが、帝国自由都市として栄えたディンケルスビュール

ローテンブルク同様、城壁に囲まれた城塞都市で、数々の戦争を経験しながらも、ほとんど戦災を受けることがなかったため、中世そのままの美しい風景が残っています。

黄色、オレンジ、赤、緑・・・ディンケルスビュールの町を歩くと、ビビッドな色合いの町並みの可愛らしさに魅了されるはず。

町のシンボルが、ホール型教会として有名な15世紀建造の聖ゲオルク教会。塔の上からは、オレンジ屋根の家々が並ぶディンケルスビュールの町並みが一望できます。

ディンケルスビュールには旅客列車が運行していないこともあり、ローテンブルクに比べるとずっと静か。宿泊して、中世の町を守った夜警が夜の町を案内する「夜警ツアー」に参加するのもおすすめです。

ディンケルスビュールの夜警ツアーは、町のレストランやバーを訪ね、あちこちでお酒が振る舞われるというユニークなもの。角笛の音色と夜警の歌声も印象的で、いつまでも心に残る体験になることでしょう。

ネルトリンゲン

近年、「進撃の巨人」のモデルではないかと噂され、にわかに注目を浴びるようになったのがネルトリンゲンです。

この町は、およそ1500年前に隕石が落下してできたリース盆地に築かれたというユニークな成り立ちをもつ町で、偶然にも町の大きさはその隕石のサイズとほぼ同じ、形は見事なまでに円形をしています。

ネルトリンゲンも、ローテンブルクやディンケルスビュールと同様、城壁に囲まれた中世の町。しかし、ネルトリンゲンにはこの町にしかない特徴があります。

それは、旧市街を囲む全長約2.7キロの城壁の上を歩いて一周できること。ドイツに中世の町は数あれど、町を囲む城壁の上を歩いて一周できるのはネルトリンゲンだけなのです。

そんなネルトリンゲンのアイコンが、町の中心に建つ聖ゲオルク教会。「ダニエル」の愛称で親しまれる高さ89.9メートルの塔には、猫職員の「ヴェンデルシュタイン」が勤務しています。

彼女は正式なネルトリンゲン市の職員で、任務は塔に近づいてくる鳥を追い払うこと。猫職員の活躍のおかけで、ダニエルは鳥の糞害の悩みから解放されたんだとか。観光客のおもてなしも行っているヴェンデルシュタイン。運がよければ猫職員による案内が受けられるかもしれません。

ネルトリンゲンにあるもうひとつの有名スポットが「リースクレータ博物館」。さまざまな隕石や火星の破片、月の石までもを展示するこの博物館には、世界各地から地学者や学生たちが訪れる、その道では有名な存在です。

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ハールブルク城

ロマンティック街道といえばとにかくノイシュヴァンシュタイン城が有名ですが、ロマンティック街道沿いにはほかにも美しい古城があります。

そのひとつが、ネルトリンゲンの南東約20キロのところに位置する町、ハールブルクにあるハールブルク城。ヴェルニッツ川のほとり、小高い丘の上にそびえるハールブルク城は、中世の城砦の雰囲気を色濃く残しています。

その歴史は古く、12世紀にはすでに文献に登場しており、以後19世紀まで改築が繰り返され、現在の姿になりました。

長い歴史を通して一度も陥落したことがないだけでなく、ドイツに数ある古城のなかでも特に保存状態が良い城として知られています。

城内の見学はガイドツアーで。ノイシュヴァンシュタイン城のような派手さはありませんが、これこそが本物の中世の城砦。重厚なたたずまいや、歴史を感じる木の内装を眺めているうちに、数百年前にタイムスリップしたような気分になれるかもしれません。

アウクスブルク

2000年の歴史をもつアウクスブルクは、西ドイツの都市トリーアに次いでドイツで2番目に古い町

11世紀の初頭から商業都市として発展しはじめ、13世紀には帝国自由都市としての地位を獲得します。15~16世紀にかけては、フッガー家やヴェルザー家をはじめ、世界史に影響を与えるほどの財力と権力を握った豪商や銀行家が台頭し、町は黄金時代を迎えました。

当時のヨーロッパきっての経済力に支えられたアウクスブルクには、壮麗な建築物の数々が生まれ、ルネッサンス文化が花開きました。

アウクスブルクが誇るルネッサンス建築の代表格が、「ドイツ・ルネッサンス建築の傑作」と呼ばれる市庁舎。なかでも、2.7キロの金を使ってきらびやかに装飾された「黄金の間」は有名で、その豪華さには誰もが目を見張ります。

世界初の社会福祉住宅であるフッゲライ(フッガーライ)も、市庁舎の黄金の間に負けないくらい有名な観光スポット。豪商フッガー家が16世紀に設立したフッゲライは、世界最古の貧者救済のための社会福祉住宅で、驚くことに今も現役で使われています。

さらに興味深いのは、家賃が設立当初からずっと変わらず0.88ユーロ(16世紀当時は1ライン・グルデン)であること。社会福祉住宅にありがちな暗い雰囲気は一切なく、町の中心部でありながら緑豊かな文化的な環境に感動せずにはいられません。

長い歴史をもつだけに、大聖堂やシェッツラー宮殿、モーツアルトハウスなど、見どころの多いアウクスブルク。ルターやマリー・アントワネットなど、歴史上の人物ゆかりの地も多く、歴史を学びながら旅すれば最高に面白い町といえるでしょう。

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ヴィース教会

「ヨーロッパで最も美しいロココ様式の教会のひとつ」と讃えられるのが、奇跡の伝説が残る世界遺産のヴィース教会

バイエルンの草原にぽつりとたたずむ教会は、一見すると簡素なようですが、ひとたび中に足を踏み入れると、息を吞むほど壮麗な空間が広がっています。

18世紀、近郊の町シュタインガーデンの神父が造った「鞭打たれるキリスト像」が涙を流すという奇跡が起こったことで巡礼地となり、当時キリスト像を祀っていた小さな礼拝堂では巡礼者を収容しきれなくなったため、この地に教会が建てられました。

建設の指揮を執ったのは、当時の高名な建築家、ドミニクス・ツィンマーマン。彼は死ぬまでヴィース教会から離れず、自らが建てた教会近くの家にずっと住んでいたといいます。

息を吞むほど華麗なヴィース教会の内部。列柱で取り巻かれたヴィース教会の豪華な主祭壇には、鞭打たれるキリスト像が祀られています。

パステルカラーの優美なフレスコ画や、立体的で細やかな化粧漆喰細工の数々・・・窓から光を採りこむ建築技法によって、自然光が美しい装飾を照らし出す、色と光あふれる空間は、見る者を無条件で感動させる美の結晶です。

フュッセン

ロマンティック街道の終点が、パステルカラーの町並みが青空に映えるフュッセン

ノイシュヴァンシュタイン城への玄関口として素通りされることも多いですが、かつて南北交易の中継地として、アウクスブルク領主司教の町として栄えたフュッセンは、中世の面影を残す絵のような町です。

カラフルな建物と、翡翠色のレヒ川、アルプスの山々が調和した風景が美しく、慌ただしい旅で疲れた旅人の心と身体をそっと癒してくれます。

町のシンボルは、アウクスブルク司教の夏の離宮として築かれたホーエス城。現在の姿になったのは16世紀のことで、建設当時としては画期的だった外壁のだまし絵が有名です。

フュッセン市博物館にある絵画「死の舞踏」や、壮麗な祝祭の間、図書館も必見。かつてのフュッセンの繁栄ぶりが手にとるようにわかります。

ノイシュヴァンシュタイン城

ロマンティック街道の旅のフィナーレを飾るにふさわしいのが、「世界で最も有名な城」ともいわれるノイシュヴァンシュタイン城

ディズニーランドの「眠れる森の美女」の城のモデルになったといわれる、絵本の世界から飛び出してきたかのようなメルヘンそのもののお城です。

ノイシュヴァンシュタイン城はフュッセン近郊の村、ホーエンシュヴァンガウに位置し、その美しい姿をひと目見ようと、世界中から多くの観光客が押し寄せます。

中世のお城と思われがちですが、ノイシュヴァンシュタイン城は、中世の騎士道に憧れたバイエルン国王ルートヴィヒ2世が自らの夢を体現するために築いた城。豪華絢爛な部屋や内装は、世界遺産のヴァルトブルク城に着想を得て造られたものが数多くあります。城内はガイドツアーにて見学します。

複雑かつ優美なシルエットをもつノイシュヴァンシュタイン城は、見る角度によってまったく異なる表情を見せてくれるのが魅力。

なかでも気軽にノイシュヴァンシュタイン城の絶景が楽しめるスポットが、城から徒歩10~15分のところにあるマリエン橋。断崖に建つノイシュヴァンシュタイン城のダイナミックな景観は、「夢の城」の名に恥じない美しさです。

ロマンティック街道の旅にはロマンティック街道バス

ロマンティック街道の町には鉄道が通っていない町もあり、鉄道と路線バスですべての見どころをカバーするのは非効率。

4~10月にロマンティック街道を旅するなら、ロマンティック街道の見どころを結ぶ、その名も「ロマンティック街道バス」の利用が便利です。

ロマンティック街道バスは、フランクフルト発・フュッセン行き、フュッセン発・フランクフルト行きをそれぞれ一日一便ずつ運行しています。

おもな停留所では観光時間が設けられており、鉄道が通っておらず、路線バスの本数も少ないヴィース教会や小さな町に短時間で立ち寄れるので便利。一部区間のみの利用もできるので、鉄道とロマンティック街道バスを組み合わせて周ってもいいでしょう。

ロマンティックバスの利用に予約は必須ではありませんが、特に7~8月のハイシーズンには事前に予約をしておいたほうが安心です。

おわりに

ロマンティック街道は、日本人が見たいドイツの美しい風景が凝縮された絶景街道。ずっと瞼に焼き付けておきたい景色に、きっと出会えるはずです。

協力:ドイツ観光局