ドイツ南部に位置するボーデン湖は、ドイツ屈指のリゾート地。
ドイツとスイス、オーストリアの国境をなすこの湖は536平方キロメートルもの面積を誇り、一見すると海のよう。実際に、海のない南ドイツでは「南ドイツの海」とも呼ばれています。
そんなボーデン湖に浮かぶ「花の島」として名高いのが、マイナウ島。
日本ではあまり知られていませんが、年間100万人もの旅行者が訪れる一大観光スポットで、季節ごとに色とりどりの花が咲き乱れる光景は、まさに「花の楽園」です。
Contents
南ドイツの花の島・マイナウ島
コンスタンツの北およそ5キロ、ボーデン湖に浮かぶマイナウ島の異名は「花の島」。
その名の通り、春はクロッカスやチューリップ、夏から秋にかけてはダリアやバラ、アジサイなど、季節ごとに色とりどりの花が咲き誇る一年中花の絶えない島です。
中世の時代から、長らくドイツ騎士団の所有となっていましたが、19世紀にバーデン公フリードリヒ1世がこの島を購入。フリードリヒ1世のひ孫にあたるレンナルト・ベルナドッテ伯爵が庭を拡張し、数十年かけて花の楽園を造りあげました。
ボーデン湖周辺は、ドイツのなかでも最も温暖な地域。面積45ヘクタールのマイナウ島には、多彩な花に加えてバナナやサボテンといった熱帯の植物も植えられており、どことなく地中海を思わせる開放的な雰囲気と、色彩豊かな風景が楽しめます。
美しいバロック宮殿もあり、自然と人工物が融合した風景美はまるで夢の世界。花や自然が好きな人なら、一日いても飽きないかもしれません。
マイナウ宮殿
マイナウ島で見られる美しい風景は、花々だけではありません。
ピンク色の縁取りが目を引くバロック様式のマイナウ宮殿は、ドイツ騎士団の時代に建造され、ベルナドッテ伯爵によって改修されたもの。現在も伯爵家の所有になっていますが、建物の一部は企画展示室やカフェとして一般に公開されています。
その隣には、南ドイツバロック様式の傑作とされる宮廷教会があり、こぢんまりとした教会ながら、天井画やスタッコ装飾で彩られた優美な空間は、格別の美しさです。
ここでは結婚式を挙げることもできるとか。花と緑に囲まれての挙式だなんて、素敵だと思いませんか。
イタリア風ローズガーデン
パームハウスを挟んで、マイナウ宮殿のそばに位置するのが、イタリア風のローズガーデン。バーデン公フリードリヒ1世に造られたもので、6月から8月ごろにかけて、400種、9000本以上のバラが咲き乱れます。
400種類もあるというだけに、これまでに見たことのないバラにもたくさん出会えるはず。ほのかに漂ってくるバラの芳香に包まれているだけで優雅な気持ちになれます。
ドイツ最大の放蝶温室
マイナウ島のなかでも特に人気を集めているスポットのひとつが、ドイツ最大規模を誇る放蝶温室。1000羽もの蝶が舞う温室内へは、幼虫の頭の部分から入ります。
色とりどりのエキゾチックな蝶が飛び回る光景は、まさに南国。なかには、自分の腕に蝶を止まらせてはしゃいでいる人もいます。
巨大な花のオブジェ
マイナウ島のアイコンとなっているのが、花で造られた巨大なオブジェ。色鮮やかな花を集めて造った豪華なクジャクや、かわいらしいアヒルたちの前は、人気の撮影スポットになっています。
青い空に、カラフルな花々が映えますね。
花と水の階段
イタリア庭園には、水が流れる巨大なカスケード(階段滝)があります。
明るい色の花々と、豊かな緑の木々とのコントラストが目にも鮮やか。昔のヨーロッパ貴族の庭に迷い込んだかのようです。
かわいい動物にも会える
マイナウ島では、ヤギやポニーといった動物たちも飼育されており、ヤギにエサをあげたり、ポニーに乗ったりといった動物たちとのふれあいも楽しめます。
時期によっては、こんなにかわいい赤ちゃんヤギにも会えるかもしれませんよ。
マイナウ島へのアクセス
マイナウ島へは、コンスタンツやメーアスブルクからフェリーで行けるほか、コンスタンツからは橋でつながっているためにバスでも行くことができます。
コンスタンツからバスに乗る場合は、コンスタンツ駅前から4/13番の「Marktstätte」行きに乗車し、所要約15分。15~30分に1本程度の運行です。
コンスタンツとメーアスブルクからは、それぞれ港からフェリーが運行しています。夏の観光シーズンならフェリーも頻発しているので便利。スケジュールは、運行会社BSBのホームページをご確認ください。
フェリーでマイナウ島に行く場合は、マイナウ島までの往復とマイナウ島との入場料が組み合わさったお得なチケットを購入しましょう。
入場料と島内施設
マイナウ島のオープン時間は、日の出から日没までです。マイナウ宮殿の展示室など、営業時間が固定されている施設もありますが、島自体のオープン時間は日々変わりますのでマイナウ島ホームページで確認を。
入場料は、夏季大人21ユーロ、冬季10ユーロ。ポニーライドなど一部別料金のアトラクションもありますが、基本的には個別に入場料を払う仕組みではなく、島に入場する際に一度だけ料金を払います。
マイナウ島の入場料は決して安くはありませんが、ドイツ人はお弁当などを持参して一日ゆっくり過ごす人が多いことを考えると、高くはないのかもしれません。
花いっぱいの島というと、「レストランはあるの?トイレは?」と不安にあるかもしれませんが、島内にはカフェやレストランが点在しており、食事をとる場所や休憩する場所に困ることもありません。
フルサービスのレストランに加え、セルフサービスのカフェテリア形式のレストランもあるので、予算や気分に合わせて選べますよ。
同様に、清潔なトイレが5ヵ所ほどありますので、トイレの心配も無用。ゆっくりと、心おきなく花の島を楽しんでください。
おわりに
日本ではあまり知られていない魅力あるスポットが、まだまだたくさんあるドイツ。マイナウ島もそんな場所のひとつです。
マイナウ島を訪れるなら、駆け足で周るのではなく、たっぷりと時間を確保して、スローな島の時間に身を任せてみてください。